歩くときは大丈夫なのに…階段になると膝が痛い。その違いは?
「普通に歩いているときは何ともないのに、階段になると膝が痛い」
そんな経験はありませんか?
特に階段を下りるときにズキッとしたり、上るときに膝へ力を入れるのがつらかったりすると、
「歩けているのに、どうして階段だけ?」
「膝が悪くなっているのかな?」
と気になりますよね。
ここで、少しだけ自分の膝を思い出してみてください。
階段は、上るときと下りるときのどちらがつらいでしょうか?
痛むのは膝の前、内側、それとも外側でしょうか?
立ち上がったり、しゃがんだりするときにも同じような痛みはありますか?
実は、歩くときと階段では、膝の曲がり方や身体を支えるときの筋肉の働きが異なります。
さらに階段では、膝だけではなく、股関節や足首も一緒に動きながら身体を上げたり下ろしたりしています。
そのため、「階段で膝が痛い」という症状も、膝だけに注目していては分からないことがあります。
この記事では、難しい身体の仕組みを読むだけではありません。
実際に自分の痛み方を振り返ったり、簡単な動きを試したりしながら、「なぜ歩くときは大丈夫なのに、階段になると膝が痛むのか」を一緒に考えていきましょう。
まず確認!あなたの膝は「いつ・どこで」痛みますか?
階段で膝が痛いといっても、痛み方は人によって同じではありません。
まずは原因を考える前に、「どんなときに、どこが痛むのか」を思い出してみましょう。
上るとき?下りるとき?それとも両方?
いつもの階段を思い浮かべてみてください。
上るときに痛いでしょうか?
下りるときに痛いでしょうか?
それとも、どちらでも痛みますか?
階段は上りも下りも膝を曲げ伸ばししますが、身体の使い方は同じではありません。
上りでは身体を持ち上げる動き、下りでは身体が一気に落ちないよう支えながら下ろす動きが必要になります。
まずは「階段=痛い」でまとめず、どちらで痛みやすいのかを確認してみましょう。
膝の前・内側・外側…痛む場所はどこ?
次は、膝のどこが痛むのかを確認します。
膝のお皿のまわりでしょうか。
内側でしょうか。
外側でしょうか。
それとも、膝の奥の方が痛む感覚でしょうか。
「膝が痛い」と感じていても、指をさしてみると痛む場所がはっきりすることがあります。
ただし、痛む場所だけで原因を特定できるわけではありません。
ここでは「自分はこのあたりが気になる」と把握できれば十分です。
歩く・立ち上がる・しゃがむときはどう?
階段以外の動作とも比べてみましょう。
普通に歩くときは?
椅子から立ち上がるときは?
しゃがむときは?
「歩くのは平気だけど、立ち上がりでも少し痛い」など、階段以外にも似た場面が見つかるかもしれません。
反対に、本当に階段のときだけ痛むこともあります。
どちらが良い・悪いという話ではなく、どんな動きで症状が出るのかを知ることが、身体の使い方を考える手がかりになります。
セルフチェックは「原因探し」ではなく痛み方を知るために
ここまで確認して、
「下りで膝の前が痛いから○○だ」
と自分で病名や原因を決める必要はありません。
今回のセルフチェックの目的は診断することではなく、自分の痛みが出る条件を知ることです。
「上りより下りがつらい」
「階段以外ではほとんど気にならない」
「膝を深く曲げる動きでも痛む」
こうした情報を覚えておいてください。
では、なぜ普通に歩くときは大丈夫なのに、階段になると痛みが出るのでしょうか。
次は、歩くときと階段で身体の使い方がどう変わるのかを見ていきましょう。
なぜ歩けるのに、階段になると膝が痛むの?
先ほどのチェックで、「普通に歩くときは大丈夫なのに、階段では痛い」と気づいた方もいるでしょう。
同じ脚を使う動作なのに、なぜこのような違いが出るのでしょうか。
ポイントは、歩くときと階段では膝の使い方が違うことです。
歩くときと階段では膝の曲がり方が違う
普通に歩くときも膝は曲げ伸ばしされていますが、階段では段差に合わせて、より大きく膝を曲げる必要があります。
一度、階段を上る動きを思い浮かべてみてください。
片足を一段上へ置いたとき、その脚の膝は曲がっていますよね。
そこから膝を伸ばしながら、身体を次の段まで持ち上げます。
つまり階段では、歩くときよりも膝を大きく曲げた状態で身体を動かす場面が増えます。
階段では身体を持ち上げる・支える動きが必要になる
違うのは膝の曲がり方だけではありません。
上りでは、一段高いところへ自分の身体を持ち上げる必要があります。
反対に下りでは、身体が下へ落ちていかないよう、脚で支えながらゆっくり次の段へ移動します。
そのため、普通に歩くときには気にならなくても、階段のように身体を持ち上げたり支えたりする動作になると、膝まわりに痛みを感じることがあります。
上りと下りでも膝の使われ方は同じではない
「階段は上れるけれど、下りがつらい」という方もいれば、その反対の方もいます。
これは上りと下りで、脚に求められる働きが違うためです。
上りでは身体を上へ運ぶために力を出す必要があります。
一方、下りでは身体の重さを受け止めながら、急に身体が落ちないよう動きをコントロールします。
同じ階段でも、上りと下りをひとまとめにせず、「自分はどちらで痛むのか」を見てみると、身体の使い方を考えるヒントになります。
「階段だけ痛い」が起こるのには理由がある
ここまで見てくると、「歩けるのに階段で痛い」ということが少し不思議ではなくなってきたのではないでしょうか。
歩くときと階段では、膝を曲げる大きさも、身体を支えるために必要な動きも異なります。
つまり、歩くときに痛みがないからといって、階段でも同じように動けるとは限りません。
そして、この違いに関わっているのは膝だけではありません。
階段を上ったり下りたりするとき、股関節や足首、太ももの筋肉はどう働いているのでしょうか。
その前にもう一度、「自分は上りと下りのどちらがつらかったか」を思い出しながら、もう少し階段での動きを詳しく見てみましょう。
上りが痛い?下りが痛い?もう一度チェックしてみよう
ここまで読んだところで、最初に確認した「上りと下り、どちらが痛い?」にもう一度戻ってみましょう。
実際に階段を使う機会があれば、無理に痛みを出そうとせず、普段どのように身体を使っているかを観察してみてください。
上りでは「どの瞬間に痛む?」をチェック
上りで痛みが出る方は、どの瞬間につらいのかを少し意識してみましょう。
足を上の段に置いたときでしょうか?
それとも、その脚に力を入れて身体を持ち上げるときでしょうか?
また、右脚を上の段に置いたときと、左脚を置いたときで違いがあるかもしれません。
「上りが痛い」だけで終わらせず、どの瞬間に痛みを感じるのかまで観察してみると、自分の痛み方がもう少し具体的に見えてきます。
下りでは「足を着く前?着いたとき?」をチェック
下りで痛みが出る方も、どのタイミングでつらいのかを確認してみましょう。
反対の足を下の段へ伸ばしている途中でしょうか?
足が段に着いた瞬間でしょうか?
同じ「階段を下りると痛い」でも、痛みを感じるタイミングは人によって異なります。
無理に何度も試す必要はありません。
普段階段を使うときに、「自分はこの瞬間がつらいんだな」と気づくだけで十分です。
手すりを使うと楽になる?
普段から手すりを使える環境であれば、軽く手を添えたときに膝の感じ方が変わるか確認してみましょう。
身体を支えやすくなったことで膝が楽に感じるのであれば、それもひとつの情報です。
ただし、「手すりを使うと楽だから○○が原因」と判断することはできません。
ここでも目的は原因を当てることではなく、動き方を変えたときに症状がどう変わるのかを知ることです。
一段ずつならどう?動き方を変えて比べてみよう
左右交互に上り下りすると痛いけれど、一段ずつ両足をそろえながら進むと楽に感じることもあります。
歩幅や膝を曲げる大きさ、身体を支える時間など、動き方が変わるためです。
ただし、痛みを確かめるために何度も階段を往復したり、つらい動作を繰り返したりする必要はありません。
普段の生活のなかで、
「上りと下り、どちらがつらい?」
「どの瞬間に痛む?」
「手すりがあるとどう?」
「一段ずつならどう?」
と観察できれば十分です。
そして、ここでもうひとつ見てほしいことがあります。
階段で働いているのは、膝だけでしょうか?
次は少し視野を広げて、太もも・股関節・足首まで含めて階段の動きを見てみましょう。
膝が痛いからといって「膝だけ」の問題とは限らない
階段で膝が痛むと、どうしても痛みがある膝に目が向きます。
もちろん膝の状態を確認することは大切ですが、階段の上り下りは膝だけで行っているわけではありません。
ここからは少し視野を広げて、太もも・股関節・足首がどう関わっているのかを見てみましょう。
太ももの筋肉は階段でどう働いている?
階段で特に重要な働きをするのが、太ももの前側にある筋肉です。
上りでは、曲がった膝を伸ばしながら身体を持ち上げます。
下りでは反対に、膝が急に曲がって身体がストンと落ちないよう、太ももの筋肉が働きながら動きをコントロールしています。
つまり太ももの筋肉は、「膝を伸ばす」だけではなく、階段を下りるときには身体をゆっくり下ろすためにも働いているのです。
股関節がうまく使えないと膝の負担はどう変わる?
階段を上るときは、膝だけで身体を持ち上げているわけではありません。
股関節を伸ばす動きや、お尻まわりの筋肉の働きも使いながら、身体を上の段へ運びます。
また、上り下りの途中で身体が左右に大きく傾かないよう支えることにも、股関節まわりは関わっています。
そのため、股関節の動きや筋肉の働き方によっては、階段での身体の使い方が変わり、膝にかかる負担の感じ方にも影響することがあります。
足首の動きも階段の上り下りに関係する
少し意外かもしれませんが、足首も階段動作に関わっています。
段差へ足を置き、身体を前や上へ移動するときには、足首も動きながら重心を移していきます。
足首が動かしにくい場合には、階段での身体の使い方が変わり、膝や股関節などほかの部分の動きにも影響することがあります。
だからといって「足首が硬いから膝が痛い」と決めることはできませんが、膝だけを見ていては分からない身体の使い方が隠れていることもあります。
膝・股関節・足首はひとつの動作の中で一緒に働く
ここまでの話を、ひとつの階段動作として考えてみましょう。
足を段に置く。
膝や股関節を曲げる。
脚で身体を支える。
身体を上へ持ち上げる、またはゆっくり下ろす。
この一連の動きの中で、膝・股関節・足首、そしてそれぞれを動かす筋肉が一緒に働いています。
だからこそ、「階段で膝が痛い=膝だけを何とかすればいい」とは限りません。
階段での膝の痛みを考えるときは、痛む場所だけではなく、身体全体がその動作をどう行っているのかを見ることも大切です。
では、自分の身体は実際にどんな動きをしているのでしょうか。
次は階段を何度も上り下りするのではなく、椅子を使って身体の動きを確認してみましょう。
やってみよう!椅子を使って身体の動きをセルフチェック
ここまで、階段では膝だけでなく、太もも・股関節・足首などが一緒に働いていることを見てきました。
では、自分はどのように身体を使っているのでしょうか。
階段を何度も上り下りして痛みを確かめる必要はありません。
安定した椅子を使って、普段の立ち座りを少し観察してみましょう。
椅子からゆっくり立ってみよう
まず、椅子に浅めに座り、両足を床につけます。
そこから普段と同じように、ゆっくり立ち上がってみてください。
このとき確認したいのは、「立てるかどうか」ではありません。
- どちらかの脚に体重をかけていないか
- 身体が大きく左右に傾いていないか
- 膝だけで頑張って立とうとしていないか
など、自分がどんな動きをしているのかを感じてみましょう。
ゆっくり座る動きも確認してみよう
次は、立った状態から椅子へゆっくり座ってみます。
勢いよく座るのではなく、お尻を椅子へ近づけるように身体を下ろしてみてください。
この「身体を支えながら下ろす」という動きは、階段を下りるときにも必要になります。
普段は気づかなくても、「立つのは平気だけど、ゆっくり座る方が膝に負担を感じる」という違いが見つかることもあります。
左右で動き方に違いはある?
立ったり座ったりするときに、左右の脚の使い方にも少し目を向けてみましょう。
いつも片側へ体重をかけている、片方の脚を前へ出しているなど、左右で使い方が違うことがあります。
ただし、左右差があるからといって、それが膝の痛みの原因とは限りません。
「右の方が悪い」と決めるのではなく、「自分にはこんな動き方の特徴があるんだ」と知るためのチェックとして考えてください。
痛みを我慢してチェックする必要はない
セルフチェックは、痛みを再現するために行うものではありません。
動かしたときに強い痛みが出る場合や、不安定で転びそうになる場合は、その時点で中止してください。
また、何度も繰り返して左右差を探す必要もありません。
今回知ってほしいのは、膝の痛みを見るときに「どこが痛いか」だけでなく、「身体をどう使ったときに痛むのか」という視点もあるということです。
普段何気なく行っている立ち座りも、少し意識してみると自分の身体の使い方を知るヒントになります。
階段で膝が痛いとき、こんな工夫も試してみよう
階段で膝が痛むからといって、無理にいつも通り上り下りする必要はありません。
痛みがある間は、膝への負担を少し減らしながら階段を使う工夫も取り入れてみましょう。
手すりを使って膝だけで頑張らない
手すりがある場合は、無理に脚の力だけで上り下りせず、身体を支えるために活用しましょう。
特に下りでは、身体を支えながら次の段へ移動する必要があります。
手すりを使うことで身体が安定し、動作もしやすくなります。
「手すりを使ったら負け」と思う必要はありません。
膝がつらいときには、負担を減らすための道具として上手に使ってください。
急いで上り下りせず、一段ずつ丁寧に
痛みがあるときは、左右交互に上り下りすることにこだわらず、一段ずつ両足をそろえながら進む方法もあります。
急いで階段を使うと、身体を十分に支えられないまま次の段へ移ろうとしてしまうこともあります。
安全を優先し、手すりも使いながら自分が動きやすいペースで進みましょう。
「鍛えた方がいい」と無理にスクワットを始めない
「膝が痛いのは筋力が足りないから」と考えて、いきなりスクワットや筋トレを始める方もいるかもしれません。
しかし、階段で膝が痛む理由を筋力不足だけで説明することはできません。
痛みが出ている状態で深くしゃがんだり、回数を重ねたりすると、かえってつらくなる場合もあります。
まずは「鍛えること」よりも、どの動きで痛みが出ているのかを確認することから始めましょう。
痛みが出る動きを繰り返して確認しすぎない
この記事を読みながら、
「もう一度階段を下りて確認してみよう」
「何回やったら痛くなるかな?」
と試したくなるかもしれません。
ただし、痛みを確認するために、つらい動作を何度も繰り返す必要はありません。
普段の生活のなかで「この動きで痛む」と分かれば、それで十分です。
セルフチェックの目的は、痛みを我慢して原因を突き止めることではなく、自分の身体の使い方や症状が出る場面に気づくこと。
無理のない範囲で観察しながら、膝との付き合い方を考えていきましょう。
セルフチェックだけで判断しない方がいい膝の痛みもある
ここまで、自分の痛み方や身体の動きを観察してきました。
ただし、すべての膝の痛みをセルフチェックだけで判断できるわけではありません。
次のような場合は、無理に動きを確認し続けず、医療機関で膝の状態を確認してもらうことも考えましょう。
腫れや熱っぽさが強い
膝が明らかに腫れている、触ると熱っぽい、痛みが強くて動かしにくいといった場合は、セルフチェックを繰り返す必要はありません。
「動かした方がいいのかな」と無理をせず、まずは膝の状態を確認してもらいましょう。
転倒やひねったあとから痛みが出た
階段で足を踏み外した、スポーツ中に膝をひねった、転倒して膝をぶつけたなど、はっきりしたきっかけがある場合も注意が必要です。
特に、体重をかけるのが難しい、腫れが強い、動かせる範囲が狭くなっている場合は、医療機関への相談を優先しましょう。
膝が引っかかる・動かしにくい
膝を曲げ伸ばしすると引っかかる感じがある、途中で動かしにくくなる、膝が抜けるような感覚がある場合も、無理に階段や立ち座りを繰り返さないようにしてください。
「何度か動かせばほぐれるかも」と試すより、一度状態を確認してもらう方が安心です。
階段以外でも痛みが強くなってきた
最初は階段だけだった痛みが、歩くときや立ち上がるときにも出るようになったなど、症状が変化している場合もひとつのサインです。
特に、痛みが強くなっている、日常生活でできない動作が増えている場合は、「まだ歩けるから大丈夫」と自己判断だけで様子を見続けないようにしましょう。
セルフチェックは、自分の身体を知るためのものです。
無理に原因を突き止めるためのものではありません。
「いつ・どこで・どんな動きをすると痛むのか」を知るところまでできれば、それだけでも身体の状態を伝える大切な情報になります。



