整骨院で行う”交通事故施術の流れ”
1. はじめに:交通事故後、まず何をすればいい?
交通事故に遭った直後は、痛みよりも驚きや恐怖で頭が真っ白になり、“何から動けばいいのか” わからなくなることがほとんどです。
よく聞く言葉が、
- 「とりあえず家に帰ったけど、この後どうしたらいい?」
- 「病院に行くべき?整骨院?それとも保険会社?」
- 「今は痛くないけど、これって大丈夫?」
という、“次の行動がわからない不安”です。
交通事故後の施術は、正しい順番で進めることがとても重要です。
理由はシンプルで、交通事故によるケガは“当日は痛くなくても、翌日〜数日後に悪化する症状”が多いためです。
特にむちうちや頭痛・めまい、肩や背中の張りなどは、事故直後よりも後から強く出ることがよくあります。
この記事では、事故直後から施術終了までの 「正しい流れ」 を、初めての方でもわかるように、優しく丁寧に解説していきます。
「何から始めたらいいかわからない…」と不安なあなたも、読み終わるころには、施術の流れがしっかりイメージできるようになります。
2. 事故直後〜来院までの基本ステップ
交通事故に遭ったあとは、体よりも“心の動揺”が先にきます。そのため、痛みに気づくのは数時間後だったり翌日だったりします。
ここでは、事故直後にとるべき行動を順番に整理します。
2-1. 安全確保・警察への届け出
まずは、二次被害を防ぐために安全を確保します。
路肩に移動したり、車を安全な場所に移動したりして落ち着いたら、必ず警察へ届け出を行います。
警察への届け出は、後の保険対応に必要な「交通事故証明書」 を発行してもらうために不可欠です。
2-2. 相手(加害者)・保険会社との連絡
次に、加害者の情報をしっかり確認します。
- 名前
- 住所
- 電話番号
- 任意保険の会社名
- 車のナンバー
これらは、後のやり取りで必要になる情報です。
また、保険会社への連絡も必要ですが、この時点で体の状態を説明する必要はありません。
“不安なことは専門家に任せる” で大丈夫です。
2-3. 現場での対応でやってはいけないこと
事故直後、人は動揺して冷静な判断がしにくくなります。しかし、以下の行動は避けるべきです。
- その場で示談してしまう
- 「大丈夫です」と安易に言ってしまう
- 痛みを我慢する
- 情報を控えず帰ってしまう
特に「大丈夫です」 は後で症状が悪化した際に不利になる場合があります。
2-4. 当日の痛みの感じにくさについて
事故直後は、体が“ショック状態”で緊張し、交感神経が高ぶっています。
そのため本来出るはずの痛みが感じにくくなっており、
- 帰宅してからズキズキしてきた
- 次の朝、急に首が回らなくなった
- 数日後に頭痛やめまいが出てきた
というケースは本当に多いです。
あなたが感じている痛みは、決して「気のせい」ではありません。事故の衝撃で体は確実にストレスを受けています。
3. 最初に必ず病院で検査を受ける理由
事故後の対応で最も大切なのが 「まず病院へ行くこと」 です。
理由は3つあります。
理由①:骨折・脱臼などの重大なケガを除外できる
病院ではレントゲン・CT・MRIなどの検査が可能です。これによって、命に関わる重大な損傷や見た目でわからない深部の問題を確認します。
理由②:診断書が必要になる
自賠責保険で施術を進めるためには、医師の診断書が必要です。
整骨院では診断書を発行できないため、病院を受診することは必須のステップです。
理由③:「異常なし」でも痛みが出る理由を把握するため
レントゲンで異常がなくても、痛みが出ることは珍しくありません。
むしろ、交通事故のケガの多くは“画像に映らない損傷(筋肉・神経・筋膜など)”が原因です。
そのため、病院で異常なしと言われても、痛みが続くことはよくあることであり、あなたのせいではありません。
4. 整骨院での初回カウンセリング(来院1〜2回目)
病院で検査を受けた後は、“機能回復の専門家”である整骨院でのリハビリを開始します。
整骨院の初回カウンセリングでは、単に「どこが痛いか」を聞くだけではありません。
4-1. 事故状況のヒアリング
- どの方向から衝撃を受けたか
- どのタイミングで痛みが強くなったか
- シートベルトの状況
- 車内での姿勢
こうした情報は症状の原因を知る上でとても重要です。
4-2. 現在の症状の確認
むちうちをはじめ、事故後は複数の症状が同時に起こることが多いです。
- 首・肩の痛み
- 頭痛
- めまい
- しびれ
- 背中の張り
- 倦怠感
- 不安・睡眠障害
“痛み以外の不調”も遠慮なく伝えてください。
4-3. 不安や生活の困りごとを整理
患者さんが最も多く抱える悩みは、「どうなるか分からない不安」です。
- 仕事に戻れるかな
- 家事や育児がつらい
- 夜眠れない
- いつまで続くのか分からない
こうした気持ちの部分も含めて、私たちは丁寧に寄り添いながらサポートします。
4-4. 自賠責保険の説明とサポート
事故後の通院は、患者さんにとって馴染みがなく、とても分かりにくい部分です。
整骨院では、
- 保険会社への連絡
- 必要書類の案内
- 通院の流れの説明
など、不安をなくすためのサポートを行います。
「保険のことが何もわからない…」という方でも安心して施術に専念できるようにしています。
5. 検査と状態説明(原因の見える化)
初回カウンセリングのあと、次に行うのが身体の状態を詳しく調べる検査です。
交通事故後の症状は、“見た目ではわかりにくい損傷”が多いため、丁寧な検査がとても重要です。
● 5-1. 筋肉・関節・神経の検査
交通事故で損傷しやすいのは、骨よりも筋肉・神経・関節の細かい動きです。
検査では、
- 首の動き
- 肩や腰の可動域
- 筋肉の硬さ
- 神経の圧迫や感覚の変化
- 手足のしびれの有無
などを確認し、どこが原因かを丁寧に評価します。
● 5-2. 姿勢バランス・動きの評価
事故の衝撃で、姿勢や体の使い方が崩れることがよくあります。
- 片側の肩だけが張る
- 頭の位置が前に出る
- 背中や腰の筋肉が硬くなる
こういった“姿勢の乱れ”は、痛みの長期化につながるため、初期でのチェックが必須です。
● 5-3. 画像検査に映らない損傷の説明
例:
- 筋肉の微細な損傷
- 筋膜のねじれ
- 神経の炎症・過敏化
- 自律神経の乱れ
こうした損傷はレントゲンには写りませんが、痛みやだるさ、しびれの原因になりやすい部分です。
● 5-4. 今後の施術計画の共有
患者さんが最も安心するのが、この 「施術計画の説明」 です。
- どれくらいで回復していくのか
- どのくらいの頻度で通えばいいか
- どんな施術をしていくのか
- 何に気をつければいいのか
これらを丁寧に説明することで、「どうなるんだろう…」という不安が“見通し”に変わります。
6. 初期施術(急性期)
交通事故の直後〜数週間は急性期と呼ばれ、炎症が強く、体が敏感になっている時期です。
この時期は、とにかく体に負担をかけず、回復の土台をつくることが大切になります。
● 6-1. 炎症を悪化させない優しい施術
急性期の施術で重要なのは 刺激しすぎないこと。
- 強く揉まない
- 無理に関節を動かさない
- 痛みが出る動作を避ける
身体が安心できるような、優しい施術を中心に行います。
● 6-2. なぜ強く揉んではいけないのか?
強い刺激は、傷ついた筋肉や神経をさらに刺激してしまい、炎症を悪化させる可能性があります。
そのため急性期は、軽い刺激で筋緊張を緩め、血流を改善する施術が最適です。
● 6-3. 初期に起こりやすい反応
事故直後は、体が緊張状態のため、
- 夜になると痛くなる
- 翌朝に症状が強くなる
- 天候で痛みが増す
- 頭痛・めまいが出る
などの変化が起こることがあります。
これらは身体が回復しようとしているサインであり、特別に悪いことではありません。
しっかりフォローしながら施術を進めていきます。
● 6-4. 初期に大切な通院頻度
急性期は、症状の悪化を防ぐためにも週2〜4回程度の通院が理想的です。
痛みが安定するまで少し間隔を詰めて通うことで、早い回復につながります。
7. 回復期の施術(中期)
痛みが落ち着いてきたら、ここからが回復期です。この時期は、身体の本来の動きを取り戻す大切な段階になります。
● 7-1. 筋肉・神経の機能回復
回復期に必要なのは、“筋肉と神経が正しく働く状態” に戻すこと。
- 筋肉を滑らかに動く状態へ
- 神経の通り道を整える
- 筋膜のねじれを改善する
- 動きのクセを調整する
こうした施術で、痛みの根本改善を進めていきます。
● 7-2. むちうち特有の症状へのアプローチ
むちうちの方に多い、
- 首を回すと痛い
- 夕方〜夜に痛みが強くなる
- 天気で症状が左右される
- 頭痛・耳鳴りが残る
などの症状は、事故の衝撃で神経が過敏になっているために起こります。
整骨院では、神経の過敏を落ち着かせる施術や姿勢改善を行い、症状の安定を図ります。
● 7-3. 姿勢バランス・動作改善
事故後は、痛みをかばうことで姿勢が崩れやすくなります。
- 頭が前に出る
- 肩の高さが変わる
- 背中が張る
- 腰が反る・丸まる
この姿勢の崩れが痛みの長期化につながります。
ここでは、筋肉・骨格のバランスを整えながら“再発しにくい体” をつくっていきます。
● 7-4. 自律神経の調整(めまい・頭痛の改善)
交通事故の大きな特徴は、自律神経が乱れやすいことです。
- 不眠
- 息苦しさ
- 集中力の低下
- めまい
- 倦怠感
こうした症状は、「首の施術 × 呼吸改善 × 姿勢調整」 の組み合わせで少しずつ安定していきます。
8. 再発予防期(後期)
症状が安定し始めたら、次は再発を防ぐための仕上げの段階です。
● 8-1. 施術効果を維持させるために
この時期は、
- 良い状態をキープする
- 再発しない体に整えていく
ことが目的です。
痛みがなくても、“あと一歩” の調整をすることで、後から悪化するリスクを大きく減らせます。
● 8-2. 仕事・家事・運転の姿勢アドバイス
実は、普段の生活での「何気ない姿勢」が症状を戻してしまうことは多いです。
- デスクワークの姿勢
- 運転姿勢
- 家事の動作
- スマホの持ち方
これらを解説し、負担を避ける方法を丁寧にお伝えします。
● 8-3. 簡単なセルフケア指導
自宅でもできる、
- 首周りの軽いストレッチ
- 呼吸のリズムを整える方法
- 姿勢を整える意識の仕方
などをお伝えします。
負担のない範囲でできるものだけを提案するので、“続けられるセルフケア” として好評です。
● 8-4. 治療終了の目安
症状が安定し、日常生活や仕事で支障がなくなったら、施術は終了となります。
「もう大丈夫」と自信を持って生活できるように、最後まで丁寧にサポートします。
9. 保険会社とのやり取りサポート
交通事故治療で、多くの患者さんが感じるのが「保険会社とのやり取りが不安…」 という部分です。
普段の生活ではなかなか経験しないことだからこそ、誰もが不安を抱えて当然です。
当院では、こうした不安が少しでも軽くなるように、保険面のサポートも丁寧に行っています。
● 9-1. 連絡時のポイント
保険会社への連絡は、必要な部分だけを簡潔に伝えれば大丈夫です。
- 故障した部位
- 通院したい整骨院の名称
- 今の状態(痛み、しびれ、頭痛など)
専門的な質問は、当院がサポートしながら進めていきます。
● 9-2. トラブルが起こった場合の対処
もし保険会社との間で不明点やトラブルが起きても、当院が介入して解決に向けて動きます。
- 通院頻度のことで揉めた
- 痛みが強いのに「もう施術は不要」と言われた
- 途中で担当が変わり話が噛み合わない
こうしたお悩みもすべて相談に乗ります。
● 9-3. 患者さんが混乱しないためのサポート体制
施術に専念していただくためにも、事務的な部分は当院がしっかり支えることを大切にしています。
「何をどうしたらいいか分からない…」そんな状態のまま施術を続けるのは、とても苦しいはずです。
だからこそ、不安を抱えずに施術できる環境づくりを整えています。
10. 病院との併用について
交通事故後の施術では、病院と整骨院を併用することが非常に一般的であり、むしろ“併用したほうが改善が早い”ケースが多くあります。
● 10-1. 併用は認められている(自賠責)
自賠責保険では、病院と整骨院の両方に通うことが認められています。併用しても窓口負担は0円です。
● 10-2. 併用のメリット
- 病院では「診断・検査・薬」
- 整骨院では「リハビリ・機能改善」
この役割分担こそが最短の改善ルートです。
症状の原因が複雑な場合、どちらか一方だけだと不十分になることが多いからです。
● 10-3. 実際の通院例
例)平日:整骨院(リハビリ) 土曜日:病院(経過観察)
こうした通い方をしている患者さんは非常に多いです。
また、「整形外科で痛み止めをもらいながら整骨院でリハビリ」という方もいます。
11. よくある質問(QA)
交通事故施術では、多くの方が同じような疑問を抱えています。
● Q1. どのくらい通えば良くなりますか?
症状の程度にもよりますが、交通事故の施術は3ヶ月程度が一般的です。
むちうちやしびれが強い場合はもう少しかかることもあります。
● Q2. 病院に行かず整骨院だけで施術できますか?
基本的には、必ず病院へ行ってから整骨院へ来院することを推奨します。診断書が必要になるためです。
● Q3. 子どもを連れて通院しても大丈夫?
はい、大丈夫です。一人で来るのが不安な方や、お子様連れの方もよく来院されています。
● Q4. 仕事が忙しくても通えますか?
通院頻度は柔軟に調整できます。事前にご相談いただければ、負担の少ない通い方を一緒に考えます。
● Q5. 交通費は補償されますか?
自賠責保険では、原則として通院に必要な交通費が補償されます。(バス・電車・タクシーなど状況により異なります。)
詳しくは来院時にご説明します。
12. 最後に:安心して施術を始めるために
交通事故後のケガは、痛みだけではなく、不安やストレス、生活の悩みまで大きな影響を与えます。
「本当に良くなるのかな…」
「このまま仕事できるかな…」
「症状が悪化したらどうしよう」
こうした気持ちになるのは、とても自然なことです。
だからこそ、施術の流れを知ることが“安心”につながります。
あなたの体がどう回復していくのか、どんなサポートが受けられるのかを理解していただくことで、不安はぐっと小さくなります。
当院では、痛みの改善はもちろん、あなたの気持ちにも寄り添いながら、「この院を選んで良かった」と心から思っていただけるような施術を提供しています。
もし今、不安や迷いがあるのであれば、どうか一人で抱え込まずにご相談ください。
あなたの回復のために、私たちが全力でサポートします。


